観光の動機ー道具性理論〜成功事例〜
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「観光の動機ー道具性理論〜成功事例〜」
前回の記事で「道具性理論」の概要と重要性について考えてみました。
道具性理論とは、「目的地に行ってしたいことが出来るなら行く!出来ないなら行かない!」という理論です。つまり動機の実現性のことだという話でした。
今回は、その道具性理論の観点から成功事例を見てみたいと思います。
ここは、年配の方から若者までかなり人気の温泉地となっています。
日本三名泉というビックな肩書きがあるのもそうかもしれません。
観光客は、
例えば、リラックスしたいと思ったときに、実際に行ける範囲でそれを実現出来そうなところを考えます。(行ける範囲は人それぞれで日帰りもあれば宿泊もあります)
温泉に入れるところ!でまず頭に浮かぶのはどこでしょう。
岐阜県が行ける範囲の人からしたら、「下呂温泉」が候補に上がるのは間違いないですね。
さらに、リラックスしたい人は「自然」を満喫したいと思った人が、岐阜県で浮かぶところはどこでしょうか。
飛騨地方ですね。(下呂温泉も飛騨地方です)
岐阜県飛騨地方には、動機の実現性の高いスポットが多く揃っていますね。
下呂温泉がすごいところはもう一つあります。
「温泉」のイメージは大人の方がゆったりする。というイメージがある人もいるかもしれません。
というイメージを作ったことで、若者層も急増し、全世代から愛される温泉街へと変化しています。
道具性理論のように「動機→どこなら実現できるかな」と考える場合、その〝動機〟を満たす観光地でなくてはなりません。
例えば、「うちはたけのこが産地だから、たけのこの町にしよう」としたとします。
しかし、「たけのこが食べたい!」という動機で観光に出る人がどれほどいるでしょうか。
もちろんたけのこファンに来て欲しい!という目的なら別ですが、多くの観光客を取り込もうと思ったら少し困難な気がします。
観光地のイメージは極力、巨大な動機を狙った方がいいと考えています。
巨大な動機は「非日常を体験したい」「リラックスしたい」「学びたい」「SNSに載せたい」「仲を深めたい」などです。
「たけのこの産地」であれば「かわいい、たけのこキャラが町中にあって、町全体がたけのこランド」みたいになっていたら、若者層は写真を撮りにくるかもしれません。
地元の名産をそのまま売るのではなく、いかに巨大な動機に変えて客層を増やすか。ということを考えることの重要性が分かりました。
これはツアーでも生かせそうです。
※記述は私見です。
道具性理論などについては観光学の書籍、データを参考にしております。正確なデータが必要な場合はご自身でお確かめください。
観光の動機ー道具性理論
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「観光の動機ー道具性理論」についてです。
皆さんは観光に行こうと決めて、観光地を選ぶ時、どんな理由で決めますか?
「美味しいご飯があるところ」「絶景なところ」という意見が多いと思います。
私自身もそうです。
しかし、その奥底に潜む人間の本当の目的。
それが動機となるわけですが、例えば「非日常を体験したい」「いつも緊張の多い仕事だからリラックスしたい」とかです。
そんな動機を実現出来るところを選ぶのではないでしょうか。
これを「道具性理論」といいます。
ヴァームという学者が提唱しました。
簡単に言うと、
「その旅行目的地では、してみたいことがどのくらい実現出来るか」
実現できそう→行く!
出来そうにない→行かない!
ということです。
動機の実現性ですね。
例えば、大自然でリラックスしたい…と思ったらどこを浮かべますか?
北海道はひとつ浮かびますね。
美食を堪能したい…と思ったらどうでしょうか。
北海道はひとつ浮かびますね。
つまり北海道は多くのイメージを持っています。
自然も温泉も、美食も牛乳も!
自然堪能=北海道となれば観光客はおのずと増えるのです。
もちろん、ここから「主観的確率」という場所・費用・条件などにより、実際に北海道を目的地とするかどうかは別問題です。
しかし、候補に入れなければ観光客は来てくれないのです。
イメージングがいかに大切かということもこの理論では物語っています。
例えば、旅行してSNSに載せたい!という動機があったとします。
そうしたら、必然的に「美しい写真が撮れるところ」という条件になります。
どこを浮かべますか?
近くのインスタ映えスポットから遠くの絶景までで「知っているインスタ映えスポット」を頭の中で浮かべたのではないでしょうか。
このときに、インスタ映えとは程遠いイメージの場所に行くことはないと考えます。
なので、「綺麗な写真が撮れる」というイメージングや広告が必要になってきます。
恋人との仲を深めたい!という初々しいカップルはどうでしょう。
距離が縮まる仕掛けを作って告知して、実現可能性(恋人との仲を深めたい)を高めていけば、
「まだ慣れていない恋人でも、あそこにいけば間違いない!」となれば、選んでいただけるでしょう。
「道具性理論」により、観光客の動機を深く知り、それを実現出来ますよ!と謳うことの重要性が分かりました。
次回は、「道具性理論」から見た、
観光地の成功事例と仕掛け方について考えてみようと思います。
※記述は全て私見です。データは観光心理学の書籍等を参考にしておりますが、正確なデータについてはご自身にてご確認ください。
観光客に、行く価値あり!と思わせる「ベネフィット」の話
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「観光客に行く価値あり!と思わせる重要性」
です。
これを一言で表現すると「コストvsベネフィット」になります。
通常の会社経営や店舗経営と全く同じ理論なのですが、
規模の大きい観光地については少し複雑に考えてしまいます。
これは当然商品であるツアーも同じです。
「コスト」はその名の通り、行くための費用・時間などです。
「ベネフィット」は行ったことによるメリット・効果・満足度のことです。
つまり「ベネフィット<コスト」の場合はほぼ行くという選択にはならないでしょう。
このベネフィットを高める必要があるのです。
飲食店でも同じですよね。
価格vs質・雰囲気などの得られる満足を比較して、質の方が高いと思ったら「お値打ち!」と思い購入します。
そうなると旅行者の求める「ベネフィット」とは何なのか。ということを徹底して分析する必要があるのです。
旅行者の行く動機などについては過去の記事で述べておりますので、是非参考にご覧ください。
動機の記事はほかにもあります。
では、身近な場所で「ベネフィット」を高めることに成功した事例はあるでしょうか。
例えば、スターバックス。
ここは「上質な空間」と「サービス」に重点がおかれています。
仕事終わりや休日にゆったりカフェで休みたい!という人はスターバックスを訪れます。
この時、コーヒー代とベネフィットを比較して「同等もしくはお値打ち」と考えて価値あり!と判断されたわけです。
「騒がしいところの方がはかどる!」という人には「コスト>ベネフィット」となるので選ばれにくいことになります。
もちろん企業の戦略に関わらず「近くにあったから」などという個人的な理由もベネフィットには加わります。
観光地やツアーも同じで、
ある旅行者が「リラックスに絶景を歩きたい」と思っていたところ、
車で30分圏内に「日本一の絶景」があったら行くことでしょう。
人によっては100km圏内でも来るかもしれません。
この「ベネフィット」の価値観は人それぞれです。
「日本一の絶景だから誰でも来る」わけではありません。
しかし「絶景マニア」なら北海道と沖縄くらい離れていても来るでしょう。
ただ、出来るかぎり多くの人にウケる「ベネフィット」を提供出来た方が継続的な集客に繋がると思います。
旅行には移動費・宿泊費・食費などが加わって判断されるので、特に困難だと言われます。
しかし客層を絞ってみると見えてくるものでもあります。
家族連れを狙っていたら、「たいていマイカーで日帰りだろう、日帰りならトータルで最大8時間くらいで済む場所にするだろう、費用は食費とかも全て合わせて1万円くらいだろう。」
と計算出来ます。そうしたら、「さあ、1万円と8時間というコストをかけてでも来たくなるだろうか」という判断が出来そうですね。
私も、お客様に満足いただけるものを開発することで観光産業の発展に少しでも関われたらと思います。
※記事内容は私見です。
観光客は前例をもとにプランを立てるらしい!
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「観光客は前例をもとにプランを立てる?」
についてです。
旅行で「どこに行こう!」と決めるのは楽しいものですが、
「計画を立てるのは面倒くさい…」と感じている人も多いそうです。
実に7割がそう感じているというデータがあります。
そこで、多くの方は、「過去に行った旅行の成功したケースをもとに計画を立てる」ということをしています。
これを、「ケース依拠的プランニング」といいます。
予算・状況・同行者など様々な状況を前提に、前回のケースをもとに計画を立てていくのです。
それは「リスク回避」と「労力を抑える」ためです。
リスク回避は、〝旅行自体の失敗を避けること〟です。
例えば、片思いの彼女とのデートを想像して見てください。
「どこ連れて行ったら楽しんでくれるかな…」と色々考えますね。
このデート、失敗は出来ません!
そうなった時、あなたは未知の挑戦に出るでしょうか。
たいていは「前回のデートでこれで成功したな」とか「グループで行った時にあのスポットを女友達は喜んでいたな」「日帰りの方がいい」「車の方がいい」「会話に困らない場所の方が反応がいい」
などと過去の旅行経験をたくさん思い出して計画を立てるものです。
「あの男、女を落とす時はいつもあの手段を使うよな」
なんて噂もたまに聞きますが、それはリスク回避という観点から見ると当然なのです。
同じように一人で行く時も、親子でも、友達同士でも「労力を抑える」「リスクの回避」のために、それぞれの状況に合わせた「過去のケース」をもとに多少の修正を加えながら計画を立てていくのです。
型があって、その中身を毎回チョイスしていくようなイメージです。
そうなると、旅行経験の多い方が旅行の成功確率はあがる?
その通りです!PDCAサイクル(計画→実行→振り返り→改善)を繰り返しているということなので、当然です。
状況によって最適なケースを判断するのが「ケース依拠的プランニング」ですね。
例えば、友人と行く時は「マイカー」の人が、家族旅行の時はいつも「バスツアー」ということもあります。
その状況は、個人にしか分かりませんが、複雑な条件が組み合わさって「最適な過去のケース」を検索するので、少しややこしいです。
ちなみに、
旅行大手HISは「若者に海外旅行をもっと楽しんで欲しい」という想いがありますが、
実は若いうちにHISを利用した方はハネムーン旅行もHISで依頼するというケースと聞いたことがあります。
なので、観光地や旅行会社は「まずは一度来てもらう→満足してもらう(成功体験を与える)」ということが継続的に集客するひとつのヒントなのかもしれません。
ただし観光の意思決定プロセスには多様な方法があり、私含め多くは「ケース依拠的プランニング」だと思いますが、その時の状況(予算等)・目的・性格など様々な理由によりその意思決定のプロセスは変わりますので注意してくださいね。
観光客の意思決定のプロセスのパターンを知ることにより、
初めて行く時、参加する時にどんな事が不安なのかが分かりますね。
私自身も、ツアーに参加した事がない人にとって初参加は「リスク」であり「労力」であるということが分かりました。そこそこのハードルがあります。
ただ、そこを乗り越えたときには「過去の成功体験」になるので次回も選んで頂ける可能性は上がりますね。
考えていこうと思います!
なぜ観光地・ツアーのイメージングが必要なのか考えてみる
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「なぜ観光地・ツアーのイメージングが必要なのか考えてみる」
前回の記事で、「観光地・ツアーのイメージング戦略」について私なりの考えを述べました。
飲食店のマーケティングと同じですね!というような話です(笑)
詳しくは、こちらからご覧下さい。
さて、今日は「なぜイメージングが必要なのか」という点について、
数々の理由があるのですが、そのうちの一つ「選択ヒューリスティックス」について述べたいと思います。
「選択ヒューリスティックス」
1回では覚えられない言葉ですね!
これは観光心理学の分野で「目的地決定のプロセス(過程)」を説明する時に利用され、
あまり一般的ではありません。
「選択ヒューリスティックス」とは、
情報が多すぎる現代は特に、
限られた情報の範囲内で「満足できる選択」が出来れば十分だとも思っているという「満足化の理論」です。
経験がある方も多いのではないでしょうか。
例えば、就活。
就活生は「自分に合う仕事ってなんだろう?」と悩み、求人を探しますね。
しかし、その時に全国全ての求人を見るでしょうか。
それは膨大すぎて不可能ですし、
仮に見たとしても余計に迷ってしまうのではないでしょうか。
脳科学の分野では、「脳は楽したがる」という性格があるそうです。
つまり「全ての情報を集めてそこから適切なものを選ぶ」という面倒くさいことをしたがらないのです。
これを観光に置き換えて考えてみました。
ツアーや観光地選びも、自分の知っている情報(テレビやSNSで見た!友達から
聞いたなど)をもとに選ぶのではないでしょうか。
人によっては旅行情報サイトで検索して選ぶ人もいるでしょう。
それでも、限られた時間と情報の中でさっさと決めようとします。
ちなみに、旅行の計画が面倒くさいと感じる人は、70%と言われています。
「脳が考えたくない」「誰か計画だけ立ててー」という理論や気持ちをまさに示していますね。
なので、
観光地やツアーは、いかに記憶に残って、旅行の目的地候補に登り詰めるかが重要です。
先ほどの就活でも、たくさん見た中で、ピンと来た会社を選ぶものですね。
数々のスルーされた求人もあるのでしょうが、その人にとってピンときた会社に行くでしょう。
現代のような情報過多な時代では、より確実に当たるように、ターゲッティングやイメージングが重要ということが分かりました。
そのイメージングについては、私なりに考えたことがありますので、また投稿いたします。
観光の盛り上げのため、学び、実践していきましょう!
※このブログ記事は私なりの考えを述べたものですのでご了承ください。
観光地・ツアー商品の「イメージ」の重要性
今回のテーマは、
「観光地・ツアー商品の「イメージ」の重要性」
について考えてみようと思います。
旅行するときにはその目的地の「イメージ」が旅行者の〝行く〟か〝行かない〟を左右しています。
ツアーの場合も同じですね。
ツアーの場合は「行程」にお金を出すものなので、「ツアー全体のイメージ」もしくは「企業ブランドのイメージ」もより関係してくるかもしれません。
例えば、「お腹が空いた」と思ったとします。
そのときに、私たちの頭の中で何が起こっているかというと、
様々な戦いが行われています。
まず、「食べる」「食べない」の選択から、
「中華」「和食」「洋食」とか「中華なら〇〇食堂だけど、遠いなー」とか「安いし、あそこにしよう」などです。
飲食店では、お客様の頭の中を制覇する。みたいなのが一つの重要なマーケティングだったりします。「お腹が空いた」から「〇〇へ行こう!」とならなければお客様は来てくれないからです。
なので、「吉野家」や「ケンタッキー」は本当に上手だと思います。
吉野家は「うまい、やすい、はやい。」がキャッチコピーです。
休憩時間や昼食の予算が限られているビジネスマンには最高の状況ですね。
しかも、ビジネス街など会社のすぐ近くにある!!
ケンタッキーも、最近すごく混んでますね!
毎日のように警備員が立っています!
CMで「今日、ケンタッキーにしない?」というフレーズを何度も使ったことで、
「クリスマスだけじゃない!!」というイメージをつけました。
さらにお得なキャンペーンを定期的に行うことで、「特別な日だけでなく、気楽に行けるんだ」というブランディングに成功しました。
私も専門家ではないのでこれ以上は避けますが、このように飲食店でも「お客様の頭の中でどう勝ち残るか」ということが重要なのです。
旅行でも、同様です。
観光心理学から読み解いても、観光に行く動機を、達成出来る目的地に行く傾向があります。
ツアーでも、「まずツアーという選択肢をどう入れてもらうか」というところから考えることが重要かもしれませんね。
「旅行しよう」→「マイカーで行く?電車?飛行機?それとも…ツアー?」という風に選択肢に入らないとそもそも選んでいただけないですね。
これらは、道具性理論というもので定義されているそうなので、また後日に投稿したいと思います。
飲食店の成功事例をもとに、観光にも生かして行きたいと思います。
私もイメージングについて、これから考えていきます。
※このブログは観光に関わる私が独自に研究し、私見を述べているものです。
その点をご理解の上、ご活用くださいませ。
旅行の優先順位が下がっているのか…という話
今回のテーマはこちらです。
「旅行の優先順位が下がっているのか…」
コロナウイルスによりインターネットを触る機会が増えました。
しかも色々なオンラインサービスも発達し、コロナの影響で今までになかったサービスもどんどん生まれていますね。
少し古いのですが、こんなデータを見つけました。
「観光旅行をしない理由として、目的地などの誘引要因が原因による「魅力不足」という側面はあまりなく、ほとんどは、旅行者側の理由(主に時間的・経済的)で支障が生じている」
今まで、観光地の魅力やツアーの魅力を上げていこう!という考えのもと、私なりの意見を述べてきました。
もちろん、数ある観光地やツアーから選んで頂くために魅力を上げるのは必須ですし、それが「旅行産業」の発展に繋がるとも信じています。
しかし、それだけでは足りないかもしれないとこのデータを見て感じました。
実際、最近の旅行データを見ても、わずかに「旅行の優先順位が下がっている」ものもあります。
これは趣味の多様化により、時間・お金の使い道も、人それぞれ多数の選択肢があることを意味しています。
また、年収の高い人ほど旅行への意欲が高いという記録もあります。
逆に言えば、一般的な年収の方は、限られたお金を、より自分にとって充実した使い方をすると考えます(ゲームやネット・趣味の多様化)
そこに「旅行」がランクインしているか。という問題になるわけです。
なので、私は「旅行自体の魅力発信」も大切だなと感じました。
ほかにも、「旅行×〇〇」というコラボレーション企画をする。
ゲームが人気ならゲームとコラボさせた旅行ならではの企画ですね。
これにより今までになかった客層を取り込むこと。
そして、「よりターゲットを刺激するコンテンツづくり」
刺激するコンテンツ作りは、まさに、
まずは観光地やツアーの魅力を上げて行こう!という話ですね。
これが結果的に「旅行自体の魅力を上げる」ことに繋がることは言うまでもありません。
出来ることはまだまだありそう。と感じました!
ちなみにデータはJTBの調査など多様なデータを参考にしております。
また記事は、私個人の見解であることをご理解ください。
観光の発展を祈ります!